FETのデジタル回路とアナログ回路における活用比較
FET(電界効果トランジスタ)はさまざまな電子回路で広く使用されていますが、デジタル回路とアナログ回路ではその役割と動作が大きく異なります。この記事では、両者におけるFETの使い方を比較し、それぞれの特性と設計ポイントについて解説します。
1. デジタル回路におけるFET
デジタル回路では、FETは主にスイッチとして使用されます。ゲート電圧がしきい値を超えるとオン、下回るとオフとなる特性により、ロジック回路でのON/OFF制御が可能です。CMOSロジックはNMOSとPMOSの組み合わせで構成されています。
- 動作方式: ゲート電圧によりオン/オフを制御
- 主な用途: マイコンのGPIO、ロジックゲート、デジタル信号制御
- 特徴: 高速スイッチング、低消費電力、高集積度
2. アナログ回路におけるFET
アナログ回路では、FETは連続的な電流制御に用いられます。リニア領域での動作が可能なため、増幅器やバッファ回路に最適です。JFETやMOSFETは、オーディオアンプや定電流回路などでも活用されています。
- 動作方式: ゲート電圧に応じてドレイン電流が連続的に変化
- 主な用途: オーディオアンプ、演算増幅器入力、定電流源
- 特徴: 低ノイズ、高入力インピーダンス、優れた直線性
3. デジタル vs アナログのFET 比較表
比較項目 | デジタル回路 | アナログ回路 |
---|---|---|
動作方式 | オン/オフ切替 | 連続的な増幅 |
電圧領域 | 離散レベル(例:0V / 5V) | 連続電圧 |
代表的な用途 | ロジックゲート、マイコン、メモリ | アンプ、バッファ、フィルター |
設計の要点 | スイッチング速度、省電力 | 直線性、ノイズ、ゲイン安定性 |
4. まとめ
FETはデジタル・アナログ双方の分野で不可欠なデバイスです。デジタルでは高速で省電力なスイッチングが、アナログでは高精度な信号処理が求められます。両者の違いを理解することで、より効果的な回路設計が可能になります。