自動車のファンが止まらない?サーミスタースイッチの故障と点検方法
エンジンを切ったのに、ラジエーターファンが回り続けていませんか?または、走行中にやたらとファンの音が頻繁に聞こえることはありませんか?こうした症状は、サーミスタースイッチ(Thermistor Switch)の故障が原因となっている可能性があります。今回は、ファンが止まらない原因を中心に、サーミスタースイッチの役割、故障の兆候、点検方法について詳しく解説します。
1. サーミスタースイッチとは?
サーミスタースイッチは温度に応じて動作するオン/オフ型のスイッチ型センサーで、冷却水の温度が一定以上に達した場合にラジエーターファンを作動させるために使用されます。多くの車両では、ラジエーター、サーモスタットハウジング、またはシリンダーヘッド付近に取り付けられています。
2. ファンが止まらない主な原因
- サーミスタースイッチの故障(常時オン状態): スイッチ内部の接点が閉じたまま固着し、温度が低くてもファンが回り続けます。
- 配線ショートやリレー固着: ファンリレーが固着しているか、配線にショートが発生している場合。
- ECUの制御異常: 一部の車両ではファンをECUが制御しており、温度センサーからの誤信号により異常動作することがあります。
3. サーミスタースイッチ故障の症状
- エンジン停止後もファンが数分以上回転し続ける
- 冷間時にもかかわらず突然ファンが作動する
- ファンの頻繁な作動によってバッテリーが早く消耗する
- エアコン使用中にファンの音が異常に大きく頻繁に動作する
4. 自分でできる点検方法
- サーミスタースイッチの位置確認: 通常はラジエーター下部やサーモスタット周辺にあります。
- マルチメーターで抵抗値測定: スイッチを取り外し、常温で導通しないことを確認します。
- 加熱テスト: 適切な温度でスイッチが導通(オン)になるかを確認します。
- リレーのチェック: ファンリレーを交換または一時的に取り外して、問題箇所を特定します。
5. サーミスタースイッチ交換時の注意点
- 適切な作動温度の確認: 例:95°Cでオン、88°Cでオフなど。
- 冷却水の漏れを防ぐ: センサーを取り外す前に冷却水を抜くか、ゴム栓で塞ぐなどの対策をとる。
- トルクレンチの使用推奨: 過度な締め付けで部品が破損するのを防ぐ。
- 交換後はエア抜き作業必須: 冷却系統内のエアを抜かないと過熱の恐れがあります。
まとめ
ファンが止まらない現象は、単なる不具合ではなく、車両の冷却システムや電気制御に何らかの問題が発生しているサインかもしれません。サーミスタースイッチの仕組みを理解し、自分で点検・交換できれば、バッテリーの無駄な消耗やエンジンの過熱を未然に防ぐことができます。あらかじめ原因を突き止めておけば、修理工場でもスムーズに対応が可能になります。