BMS回路の放電MOSFETを手動でバイパスして出力を復旧する方法
バッテリーパックのP+とP−間の電圧が0Vであるにもかかわらず、各セルの電圧が正常な場合、BMSが保護状態で放電MOSFETをオフにしている可能性があります。このような場合、P−とB−を一時的に接続することでBMSを「目覚めさせる」ことができます。
1. なぜ放電MOSFETをバイパスすると復旧できるのか
放電MOSFETは外部負荷への電流の流れを制御します。BMSコントローラーが異常(例えば低電圧)を検知すると、ゲート信号を遮断し、FETがオフ状態となって出力電圧が0Vになります。このとき、P−とB−を短時間接続することで出力が回復することがあります。
- P−: 放電MOSFETによって制御されるBMSの出力負極
- B−: 各セルのマイナス端に接続されたバッテリーの負極
- P+: 出力正極(通常B+と直結)
2. バイパステストの手順
- テスター(マルチメーター)をDC電圧モードに設定します。
- P+とP−間の電圧を測定し、0Vであれば次へ進みます。
- 絶縁されたリード線やクリップで、P−とB−を1〜2秒間だけ接続します。
- 再度P+とP−の電圧を測定し、電圧が出ればBMSが復旧したことを意味します。
この方法は短時間であれば安全ですが、P−とB−を長時間接続し続けることは絶対に避けてください。保護回路が無効化される恐れがあります。
3. 使用すべき場合と避けるべき場合
- 使用すべき状況: 各セルの電圧が健康(例:3.0V以上)で、出力がない場合
- 避けるべき状況: セルが2.0V以下に深く放電されている、膨らんでいる、または損傷している場合
- 復旧後は、電流制限付きの充電器で安全に充電してください。
まとめ
放電MOSFETを手動で一時的にバイパスすることで、保護状態のBMSから出力電圧を回復させることができます。このテクニックは、リチウムバッテリーパックのDIY修理において非常に有用です。